先日、投稿したサーバをリプレース記事の続きになります。
リプレースしようと思った経緯などはこちらの記事を参照してください。
この記事ではESXi 6.7基盤上に録画サーバを構築するにあたって起こった問題とその解決について紹介します。
構築する録画サーバについて
問題について紹介する前に、今回構築した録画サーバについて軽く紹介します。
構成
録画サーバに割り当てたハードウェア構成こんな感じです。
構成 | 割り当てた値 |
---|---|
CPU | 2コア |
メモリ | 6GB |
ストレージ | 60GB (OS/SSD) |
1TB (HDD) | |
拡張カード | アースソフト PT3 |
USBデバイス | ACR39-NTTCom |
OS | Windows 10 Pro 64bit |
このハードウェア構成のうち、録画サーバという特性上『PT3』と『ACR39-NTTCom』については、仮想デバイスではなくホスト機に繋がっているハードが直接マウントされています(パススルー接続)。
この仮想マシンが直接デバイスを使えるよう設定周りで今回は躓きました。
構築するにあたって発生した問題
今回発生した問題は以下の2点
- 『PT3』がパススルー設定にならない
- パススルー設定にならないため、仮想マシンに『PT3』が接続できない
- 仮想マシンにUSBデバイス『ACR39-NTTCom』を接続しても、仮想マシンを起動したタイミングで接続が外れる
この問題が解決しないことには、録画サーバが構築できないので対応しました。
解決方法
前提条件
検証を行っている訳ではないので有効かどうか不明ですが、関係ありそうな設定はこんな感じの設定値を指定しています。
【仮想マシン設定値】
項目 | 設定値 |
---|---|
[仮想ハードウェア] CPU > IOMMU | ☑ |
[仮想マシン オプション] 起動オプション > ファームウェア | EFI |
[仮想マシン オプション] 起動オプション > UEFI セキュア ブートの有効化 | □ |
【ホスト機 マザーボード設定値】
項目 | 設定値 |
---|---|
IOMMU機能 | 有効 or Auto |
PT3のパススルーについて
本来であればESXi基盤の設定画面から、『管理 > ハードウェア > PCIデバイス』の画面から、パススルーを行いたいPCIデバイスを選択し、『パススルーの切り替え』をクリックしたらESXi基盤を再起動することにより、選択したPCIデバイスはパススルー設定に切り替わります。
今回の場合、『パススルーの切り替え』をクリックした後にESXi基盤を何度再起動しても、パススルー設定に切り替わりませんでした。
この問題を解決するため、次の設定変更を行います。
『管理 > システム > 詳細設定』の画面から、『VMkernel.Boot.disableACSCheck』の設定値を「false」から「true」へ変更しました。
設定変更後、ESXi基盤を再起動するとPT3のパススルー設定が正しく『アクティブ』に変更されました。
【Before】
【After】
USBデバイスが自動で外れる件について
仮想マシンに接続したUSBデバイスが起動したタイミングで外れてしまう事象に対しては、仮想マシンの設定を色々変更することで対応しました。
ということで、変更した箇所は以下の通り。
【仮想マシン設定値】
項目 | 設定値 |
---|---|
[仮想ハードウェア] CPU > ハードウェア仮想化 | □ |
[仮想マシン オプション] VBS | □ |
上記設定に加え、『[仮想マシン オプション] 詳細 > 構成パラメータ』の『構成の編集』に以下の値を追加します。
キー | 値 |
---|---|
usb.generic.allowCCID | TRUE |
これで仮想マシン起動後もUSBデバイスが外れることなく起動させることができるようになりました。
終わりに
今回起きた事象さえ解決してしまえば、後は普通に構築・設定をするだけで問題なく動きます。
というか、今も絶賛稼働中です。
あと、ここからは愚痴になってしまいますが、解決するにあたって、ESXi基盤のバージョンアップしてみたり、違うバージョンを再インストールしてみたりと色々してみましたが、それでもESXiそのものの構築は楽ですね(情報も多いし)。
自宅にADがあることもあり試しにHyper-V Servr 2016を以前構築しましたが、あちらに比べると構築や設定にかかった時間は半分くらいで済んでいるような気がします。
一般的に業務で使用されているWindows Server on Hyper-VはともかくHyper-V ServrはAD環境があっても構築がとても癖があってやりにくいので、正直、もうしばらくはやりたくないです。
ESXiはESXiでNICの問題があるのでやや導入の敷居は高いですけど、IntelのNIC自体はそれほど高価でもないですし、Amazonで気軽に購入できるので準備さえしっかりと行っていればいいだけですし。
なので、今後自宅で検証サーバを作る予定のある方はHyper-V ServerではなくESXiの方がオススメですです(KVMやXenは使ったことも構築したこともないのでシラネ)。